日当制度で、会社も社員も豊かに。
適切な日当制度は、会社の経費を最適化し、役員・従業員の手取りを増やす強力な経営ツールです。このガイドで、税務リスクを抑えながらそのメリットを最大限に引き出す方法を学びましょう。
なぜ導入するのか? 節税効果をシミュレーション
日当制度は、役員・従業員には非課税所得、会社には損金として扱われます。これにより、社会保険料、所得税、法人税、消費税など、多方面にわたる節税効果が生まれます。下の計算機で、そのインパクトを実感してください。
かんたん効果測定
会社側の年間節税効果(概算)
約 1,947,273 円
法人税・消費税・社会保険料負担の軽減額合計
従業員側の年間メリット(1人あたり概算)
約 108,000 円
所得税・住民税・社会保険料の非課税/除外効果
※グラフは日当を給与として支給した場合との比較イメージです。
成功の礎:非課税を実現する3つの必須ルール
日当制度のメリットを享受するには、税務署に「給与」ではなく「旅費交通費(経費)」と認めてもらう必要があります。「給与」として扱われると、税務調査時に「源泉所得税」の追加納付を求められる可能性があるからです。以下の3つのルールを必ず守りましょう。
ルール1:出張旅費規程の策定
全ての根拠となる最も重要な書類です。日当の目的、金額、適用範囲、手続きなどを明文化し、それに従って運用することが絶対条件です。
ルール2:社会通念上、妥当な金額設定
日当額は高すぎても低すぎてもいけません。役職間のバランスを保ち、同業他社の水準を参考に、客観的な根拠に基づいた金額を設定します。
ルール3:出張事実の記録管理
日当に領収書は不要ですが、「いつ、どこで、何をしたか」という出張の事実を証明する報告書や申請書の作成・保管は必須です。
参考:日当の相場は?
産労総合研究所などの調査を参考に、役職別の一般的な日当額を見てみましょう。
【応用編】「一歩外へ」の近距離業務に日当を出すには?
ご要望の多い「近距離の営業や打合せ」への日当支給。これを実現するには、出張旅費規程で「出張の定義」を戦略的に設計することが鍵となります。単に外出したからではなく、「なぜ経費の補填が必要か」という論理性が問われます。
規程に盛り込むべき論理フロー
① 業務指示
通常の勤務地を離れて社外活動を行う
② 通常と異なる費用発生
通勤経路外の交通費、通信費、顧客との茶菓代など
③ 実費弁償の必要性
これらの追加費用を補填する必要がある
④ 近距離日当の支給
通常の出張より低額な手当を支給する根拠となる
💡 規程の工夫例
「近距離業務手当」などの項目を設け、「通常の勤務地を離れて行う顧客訪問等の社外業務で、それに伴い通常発生しうる軽微な追加的費用(交通費、通信費等)の実費弁償として、1日あたりXXXX円を支給する」といった条文を定義します。この金額は、通常の出張日当よりも相当低額にするのが一般的です。
実践!日当制度 導入・運用のロードマップ
制度導入を成功させるための具体的なステップです。
現状分析と目的明確化
自社の出張実態(頻度、コスト等)を把握し、制度導入の目的(節税、福利厚生など)を明確にします。
専門家への相談
税理士や社労士に相談し、法的な要件やリスク、節税効果について専門的な助言を得ます。
出張旅費規程の作成
専門家のアドバイスに基づき、必須項目を盛り込んだ規程の草案を作成。特に「出張の定義」と「日当額」を慎重に検討します。
社内承認と従業員への周知
作成した規程案を取締役会等で承認後、全従業員に内容を周知徹底します。
届出と運用開始
(従業員10人以上の場合)労働基準監督署へ届出後、運用を開始。定期的に運用状況をモニタリングし、必要に応じて見直します。
転ばぬ先の杖:税務調査で否認されないためのリスク管理
日当制度を導入しても、運用を誤れば税務調査で指摘される可能性があります。よくある否認理由と、その対策を確認しておきましょう。
社会通念を著しく超える高額な日当は給与とみなされます。産労総合研究所の調査データや同業他社の水準を参考に、客観的根拠のある金額に設定することが重要です。
最も厳しく追及されるケースです。出張申請書や報告書で「いつ、どこで、誰と、何をしたか」を必ず記録し、出張の事実を客観的に証明できるようにしてください。
出張実績に関わらず毎月定額を支払うと、給与や固定手当とみなされます。日当は必ず、個々の出張実績に基づいてその都度計算し、支給してください。